土曜日, 11月 04, 2006

第9回:整数問題の解答法

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やさしく数学を
第9回 1.前回の問題を振り返って
2.前回の問題の解答例
3.頭の体操のコーナー
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皆様、こんにちは。

私は、先々週の日曜日にTOEICの試験を受けてきました。
試験受けたのは、久々で2年振りくらいになりますかね。
TOEICである程度の点数が取れるようになったら、
「やさしく英語を」とかいうメールマガジンも
発行してみようかな。

そして、今週の連休はスキーへ行ってきました。
(私の世代はまだ、スノボではなくスキー世代なんですね。)

また、掲示板の方では、センター試験の質問とか頂いたりして、
ありがとうございました。
これらは、今後このメールマガジンで扱うかもしれません。

また、最近、読者が異様にふえたので私がどんな人なのか
知りたいという人は、最近あんま更新してない個人のページ

http://www.02.246.ne.jp/~suzuki-t/

に自己紹介がありますんでご興味のある方はどうぞ。
よく更新している日記コーナーをよめば、だいたい、
この人はどんな感じの人間か分かって頂けると思います。

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1、前回の問題を振り返って

前回、頭の体操のコーナーで問題出したところ、以外にも
多くの反響を頂き、こういう形式は好きなのかなって感じました。

メールいただいた方には、本当は、全員にとりあえず簡単なコメントとして
返信しておきたかったのですが、全員に送ることは出来ませんでした。
申し訳ありませんが、本、メールマガジンを持って返信に変えさせていただきます。

愛想がないとか思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、
なにしろ、予想以上の回答を頂いたんでその点はご容赦ください。

また、このメールマガジンで不明な点は遠慮なくメールください。
そして、返信が欲しいなと思われの方は、さりげなく「?マーク」とか
を入れていただければ、なるべく早く返信します。

なお、頂いたメールにはすべて目を通しております。
今後のメールマガジンの方向性に役立たせたいと思ってます。

#「頭の体操のコーナー」を今後も続けてくださいというメールもあったんですが、
#こっちもそれほどいいネタ持ってるわけではありませんので、いいネタある方は
#教えていただけると助かります。


前回、「直感でも構わないから、問題の解答が分かったらメールをして欲しい」
と書いたのは、直感の大切さをちょっと分かってもらいたかったためです。

直感が働くというのを、駄目だという人もいるかもしれませんが、
私はそうは思ってません。実は、直感が働くということは、その分野に関して
ある程度の理解があるということなんです。

全く知らない分野に関しては、直感なんて働くはずないですよね。
直感で問題を解けるというのは成長への一つの大切なステップです。

また、こちらが想定してないやり方・切り口で解答してくれた人も
いました。十人十色とはよく言われますが、本当にそれを実感できました。

最近の世の中、結構自分の意見を抑えてしまってしまう人が目立ちますが、
本当にもったいないなと思います。
数学に限らず、自分の意見はドンドン主張した方が言いと思います。
(ただ、意見を押し付けることはあんましない方がいいようです。)


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2、前回の問題の解答

その前に、前回出題した問題をもう一度、見てみよう。

●問題●
x、y、zを正の整数と仮定したときに

1 1 1 4
--- + --- + --- = ---
x y z 5

を満足するx、y、zを求めよ。

----------------------------------

最初は、

(xy+yz+zx)/xyz = 4/5

と通分してみた方が多いのではないでしょうか?

確かにこれは自然な発想です。
しかし、なんか難しそうでやめてしまった人も多いでしょう。

しかし、ここからも有用な情報は得られるのです。

(xy+yz+zx)×5 = 4×xyz

となり、x,y,zのいずれかは5の倍数であるという情報は得られます。
(左辺が確実に5の倍数であること、5が素数であること、4は5では割れないこと
を用いる事によって導きます)
#これで理解できますでしょうか?

実際は、この事実は使わなくても解答できます。

しかし、この事実も頭に入れながら、以下で解答していきましょう。

★★★★★★★★
★直感的な解法★
★★★★★★★★

●パターン1 「問題を自分の馴染みある形式に直してみる。」

4/5を少数に直して考える人がいた。

4/5=0.8
として、

きっといろいろ組み合わせを考えてみて

0.8=0.5+0.2+0.1
1 1 1
= --- + --- + ---
2 5 10

と出したのでしょう。

きっと、この解答者は、分数よりも少数の方が、馴染みがあるのでしょう。
このように、「自分の得意な形式に書き直して考えてみる」という
発想はとても大切です。

ここでは、このことを強調しておきましょう。

この他にも、線分を書いて考えた方、円を書いて角度で考えた方、がいました。
これらも、「自分の得意な形式に書き直して考えてみる」ということになります。
とてもいいことであり、大切なことです。

●パターン2 「いろいろな数字を試しに入れてみる」

いろいろ数字を入れてるうちに解けたって人は
結構多くいましたね。これも、非常に大切なことですね。
いろいろ数字を入れる事によって、感覚というのが生まれて、
理解も深まりますからね。

このように、「実験する」という行為も数学的なセンスを磨く上では
非常に大切な行為です。

試しては、上手くいかず、そしてまた、試して失敗して…
そして、成功!
これって、成長の典型的なモデルですよね。

失敗するというのは、
「それが正しくない」ということが分かったという意味もあるし、
つまり、そこには課題があるわけで、そういう発想で物事を考えていけば
いくらでも人は大きくなれると思います。

「失敗は成功のもと」って言葉はきっとこういうことなんでしょう。

★数学的(論理的)解法

数学的には、下記のように解くのが一般的だろう。

まず、 x ≦ y ≦ z と仮定しても一般性は失わないことに注意する。

(ここで「≦」という記号について説明しよう。
これは、どっちが大きいかを比較するために用いる記号である。
"x≦y"と書いた場合は「xはy以下である」という意味になる。
また、上記で"="を取って
"x<y"と書いた場合は「xはy未満である」という意味になる。
この場合は、xとyは等しくならないことに注意する。
)

これは、x.y,zを交換したとしても式自体は同じになるということから
使用可能な考え方である
よく使用する手法であるので、この部分を、理由も込みで理解しましょう。


1 1 1 1 1 1 3
--- + --- + --- ≦ --- + --- + --- =---
x y z x x x x

(ここでは、x ≦ y ≦ z ということから
1 1 1 1
--- ≧ --- , --- ≧ ---
x y x z
を用いている。
こうみると、難しく見えるかもしれないが、要は
1 1 1 1
--- ≧ --- , --- ≧ ---
2 4 3 5
とか言うことですね。

もっと分かりやすく言うのなら、ケーキを4人に分けるのと5人に分けるのでは、
どっちの方が小さくなるかということにすぎません。
(分ける数が多ければ多いほど1つあたりのケーキの大きさが小さくなる
という当たり前のことです。)
)

ということから、
4 3
--- ≦ ---
5 x (ここでは、1/x+1/y+1/z = 4/5を使用してます)

これより、両辺に5×xを掛け算する事によって、

4x ≦ 15

となり、両辺を4で割り算する事によって、

15
x ≦ --- =3.75
4

xは、正の整数であったので、
ここから、まず、x=1 or x=2 or x=3 であることがわかる。

ここから、いわゆる「場合分け」という作業をする。
これは、いわゆる、可能性のあるものをすべて調べてやる
という総当り式の方法である。
これも、よく使用する数学的な手法の一つである。

○ x = 1 の場合

1 1 1 4
--- + --- + --- = ---
1 y z 5

となるので、両辺を1引き算する事によって

1 1 1
--- + --- = - ---
y z 5

となるがy,zも正の整数なので、右辺が負になることは
ありえない。
よって、x=1の可能性は無し。


○ x = 2 の場合

1 1 1 4
--- + --- + --- = ---
2 y z 5

となるので、両辺を(1/2)引き算する事によって

1 1 4 1
--- + --- = --- - ---
y z 5 2

8 5
= ---- - ---- (通分してみる)
10 10
3
= ---
10


前にやったのと同様な作業をする。つまり

1 1 1 1 2
--- + --- ≦ --- + --- = ---
y z y y y

3 2
--- ≦ ---
10 y
20
y ≦ --- =6.66666
3


前にやったのと同様な作業をする。

y = 2,3,4,5,6 の可能性があるのでまたまた場合分けをする。
以下計算すると、下記のような感じになることが分かる。
(作業としては単純にyに値を代入して、残りのzを求めるという作業)
y = 2 のとき z = -5 ダメ(zが正でない)
y = 3 のとき z = -30 ダメ(zが正でない)
y = 4 のとき z = 20 OK
y = 5 のとき z = 10 OK
y = 6 のとき z = 7.5 ダメ(zが整数でない)

○ x = 3 の場合

1 1 1 4
--- + --- + --- = ---
3 y z 5

となるので、両辺を(1/2)引き算する事によって

1 1 4 1
--- + --- = --- - ---
y z 5 3

12 5
= ---- - ---- (通分してみる)
15 15
7
= ---
15


前にやったのと同様な作業をする。つまり

1 1 1 1 2
--- + --- ≦ --- + --- = ---
y z y y y

7 2
--- ≦ ---
15 y
30
y ≦ --- =4.28
7

x≦y≦z で現在x=3であったので

y = 3,4

y=3のとき x = 7.5 ダメ(zが整数でない)
y=4のとき x = 60/13 ダメ(zが整数でない)


以上より、求める解は、小さい順に並べたときには

x=2 ,y=4 ,z=20
x=2 ,y=5 ,z=10

となり、一般にはこれらを入れ替えたものも解であるので、

x=2 ,y=4 ,z=20
x=2 ,y=5 ,z=10
x=2 ,y=20 ,z=4
x=2 ,y=10 ,z=5
x=4 ,y=2 ,z=20
x=5 ,y=2 ,z=10
x=20 ,y=2 ,z=4
x=10 ,y=2 ,z=5
x=4 ,y=20 ,z=2
x=5 ,y=10 ,z=2
x=20 ,y=4 ,z=2
x=10 ,y=5 ,z=2

がすべての解となる。



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3、頭の体操のコーナー

●問題●
3次元の空間、すなわち我々が日常生活住んでる空間を考える。
ある1点を決定して、そこから線分を引くことを考える。

2つの「線分」を取り出したときに、そのなす角がすべて90度を
超えるようにしたい。

この条件を満足するような線分は最大何本引けることが可能となる
でしょうか?
-------------------------

とりあえず、最初は2次元の世界(紙の上)で考えてみるといいでしょう。
それが出来れば、3次元に拡張するのは容易ですかね。

ちゃんと解答するための、キーワードとしては
「ベクトル・内積」なんかの知識が必要となりますが
知らない人はこれまた、直感的に解答してみてください。