土曜日, 11月 04, 2006

第5回:復習を兼ねて(とある貯金法)

=======================================
やさしく数学を
第5回 1.いままでの復習(とある貯金法)
2.とある貯金法(数列的な言葉で表現)
2.Q&A特集(このメルマガを難しく感じる方へ)
=======================================

先週のメルマガを出して、初めて「難しいです」
とかいう類の意見が来ました。
前回は、少し話が抽象的になってちょっと難しかったかも知れません。

というわけで、今回は今までの復習を兼ねた回にしたいと思います。

年末ですし、分からないことをすっきりさせて年を明かしましょう。

============================================

1.とある貯金法

あまり、現実的ではないが以下のような状況を考えてみよう。

--------------------------------------------------------
来年1月1日から微々たる貯金を始めたい。

1月1日(1日目)は、1円貯金箱に入れる。
1月2日(2日目)は、2円貯金箱に入れる。
1月3日(3日目)は、3円貯金箱に入れる。

以後、一日たつごとに貯金箱に入れる金額を1円増やしていく。
--------------------------------------------------------

そうすると、例えば、

1月31日は31日目だから31円貯金箱に入れる。
2月1日 は32日目だから32円貯金箱に入れる。

以降、日付は面倒臭いので、何日目かだけ書くことにすると。

100日目は100円貯金箱に入れる。

このような、貯金法を1年間続けたとしよう。
果たして、いくら貯金できているのだろうか。

とりあえず、
初日は1円貯金箱に入ってるだろう。

2日目はそれに2円入れるのだから

1円+2円=3円

というわけで3円入ってるだろう。
3日目ははそれに3円入れるのだから

1円+2円+3円=6円

というわけで6円入ってるだろう。

2002年は、全部で365日あるわけで、したがって
以下365日分足すと、

1円+2円+3円+4円+・・・・・・・+364円+365円

を求めればいいことが分かる。

この和はいったいいくらくらいになってるだろうか??

とてもではないけど順番に計算する気は起きない。

知らない人は、この計算方法を考えてもらいたい。
また、やり方は分からなくても、大体こんなもんじゃないかなと
予想はしてもらいたい。

こういう感を数学的なセンスと言って、こういう感を鍛える事によって
数字に関する感が少しは冴えるようになる。

こういう数学的なセンスってのは日常生活で一番よく使うもんだと思う。

★もし、知らない人で自分で考えたり予想してみた人は、掲示板とか
★メールでその考えを教えてください。
★内容はどんなものでも構いません。
★どういう思考を持ってるのかなというのは個人的に興味がありますんで

尚、上記数列は数列の言葉でいえば
初項が1で公差が1の等差数列になってます。

2. とある貯金法(抽象編)

1.に書いたことと同じ事を数列的な言葉で書き直そう。

--------------------------------------------------------
来年1月1日から微々たる貯金を始めたい。

初日に1円貯金箱に入れ(初項)、以降1日ごとに貯金額を1円増やす。(公差)
つまり、
i日目にi円貯金箱に入れる。
--------------------------------------------------------

すると、
i日後に貯金箱に入れる金額をa_iと定義する、

つまりa_i=iと書くことにすると、

i日経過後は (a_i)円貯金箱に入れる。

と書きかえられる。
これは単なる言い換えに過ぎない。

さて、それでは、1年後の貯金額を求めよう。

上記1.では

1円+2円+3円+4円+・・・・・・・+364円+365円

とかいた。

しかし、上記書き方だと実は・・・・・・の部分が非常に曖昧なのである。

「そのために和の記号Σを用いる」

Σを用いる意味はここにあることは前回述べなかったがここに意味がある。

Σを用いるためには1日目に貯金箱に入れる額から365日目までに貯金箱に
入れる額を足していけばよいので、

365
Σa_k
k=1

と書ける。
このΣで表現した式は、上記の場合

1円+2円+3円+4円+・・・・・・・+364円+365円

と同じ意味であることは、繰り返しになるが、充分理解して欲しい。

ちなみに、次回はこの和の求め方を解説します。
一般に、等差数列の和と言うのはあるパターンで簡単に
求められると言うことを解説していきたいと思います。


★今回のポイント★

Σの目的をきちんと理解しよう。
Σは、曖昧さを一掃して厳密に和を表すための記号である。

============================================
2.Q&A特集

Q. a_kの意味は??

A. これは、単に数列aのk番目の数と言う意味です。
このaの意味は、数列という「数の並び」に名前をつけたものです。
aと書いてもこれは数字の列を表してるのには注意が必要です。

Q. aは規則正しくないといけないのか??

A. 数列は規則正しくなくても別に構わないです。

Q.このメルマガ、、、私にはじゅうぶん難しいです。
みなさん、このレベルでは物足りないのでしょうか?

A.そんなことは無いです。
始めてみる人は難しく感じるし、見たことある人は
やさしく感じる。
数学ってそんなもんです。

このメルマガを受講してると言うことは、多少なりとも数学に興味があると
信じてます。基本的にはその気持ちさえあれば、数学がやさしく感じる日も
遠くは無いはずです。
分からないことは、掲示板・メール等で積極的に質問してください。
分からないままにすると、その先に進めません。

一方、分かる人も掲示板に来ていただいて分からない人に教えてあげれるような
世界を掲示板で実現させたいと思ってます。
(もちろん私も返信いたしますが負担が少しでも軽くなれば助かります)

今年の発行はこれが最後になるでしょう。
それでは、皆さんよいお年をお迎えください。