土曜日, 11月 04, 2006

第3回:等差数列を数式で

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やさしく数学を
第3回 1.等差数列を数式で
2.前回の訂正
3.本メルマガの意図
4.数学に関するHP紹介
5.掲示板の投稿紹介
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そのおかげもあって、購読者も一気に3倍近く膨れ上がり、現在は3500人を超え
る読者数にになりました。
たいしたメルマガではないですが、今後とも心温かいご支援のほど
よろしくおねがいします。

なお、今回初めて購読される方は、文末のurlより過去ログをご覧になってから
読むことをお勧めします。

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数学嫌いの原因として、ひとつあげられるのが、
教科書とかは、公式・数式を「重要」と囲うので、皆が
それだけを覚え、その式自体が持つ意味を考えないことも
一つとしてあげられると思います。

意味を持たないものは当然、すぐに忘れてしまうし、
忘れてしまった結果、分からなくなる。

意味もなく、ただ単に公式に適用するだけの作業が
面白いわけもありません。

そんな感じで、数学がつまらなくなる。と言うパターンが
多いような気がします。

今回は、前回までの説明を「数式化」してみます。

式を見たときには

「意味を考える」

ということが重要であると言うことは強調しておきます。
(いわゆる公式と言うものを見た時は、決して文字だけで覚えようとしないで下さい。)
上っ面よりも中身が大切です。

ここらへんを心に留めながら、本題に入りることにします。

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1.等差数列を式で表現する。

前回は等差数列の概念についてやりました。
前回は、なるべく言葉での説明を心がけました。
今回は、それをやや数学的な表現で書き直します。

今回大切なのは、「式の意味を考える癖をつける」
ということです。

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「1番目の数(初項)は1、隣り合う数の差(公差)は2」
という条件があれば、
1,3,5,7,9,11,13,15、・・・・・・
と数列を構成できる。

ここで、「初項」「公差」というの初めて出てきた言葉である。
これは、数学的によく使われる言葉ということを補足しておくが、
本来の意味を失わないようにはしてもらいたい。

どのようにこれらは求められたかと言うと
(2番目の数)=(1番目の数)+2

(3番目の数)=(2番目の数) +2
=(1番目の数)+2+2
(1番目の数に2を2回足し算する)

(4番目の数)=(3番目の数) +2
=(2番目の数)+2 +2
=(1番目の数)+2+2+2
(1番目の数に2を2回足し算する)

これでは、多少分かりにくいかもしれない。どういう意味か別の角度から見てみる。
等差数列は、説明の都合上、縦に書いてみると書きのような構造となっている。

1番目:1
↓ +2
2番目:3
↓ +2
3番目:5
↓ +2
4番目:7
↓ +2
5番目:9
↓ +2
6番目:11
↓ +2
7番目:13
↓ +2
8番目:15

(上記イメージ図の意味は↓で次の数に進むときに2を加えているという、まぁ隣り合う
項の関係を表したものです。)

上の図を見れば、4番目の数を求めるためには
初項(1番目の数)に公差(隣り合う数の差)を3回足す事が分かる。
また、8番目の数を求めるためには
初項(1番目の数)に公差(隣り合う数の差)を7回足す事が分かる。

そして、もっと先の数20番目の数を求めてみよう。
そのためには、上の矢印の数を数える行為が必要になる。
20番目の数と1番目の数との間には何個の矢印が入るか??

ここで、上記例を元に、各自に「○番目」は「何回足せばいいのか」考えていただきたい。
(要するに、上記例では、矢印「↓」を数える行為になる)

なお、ここで強調しておきたかったことは、
・ 初項(1番目の数)
・ 公差(隣りあう数の差)
の2つが分かれば、○番目の数が求められると言うことである。

では、ここで、ちょっと数学っぽく一般化してみる。
・ 初項(1番目の数)をaとする。 (aにはある数字が入る)
・ 公差(隣りあう数の差)をdとする (dにもある数字が入る)
そうすると、具体的にやった場合と同様に

1番目:a
↓ +d
2番目:a+d
↓ +d
3番目:a+2×d (=a+d+d)
↓ +d
4番目:a+3×d (=a+d+d+d)
↓ +d
5番目:a+4×d (=a+d+d+d+d)
↓ +d
6番目:a+5×d (=a+d+d+d+d+d)
↓ +d
7番目:a+6×d (=a+d+d+d+d+d+d)
↓ +d
8番目:a+7×d (=a+d+d+d+d+d+d+d)


それでは、n番目の数を式で表そう。
イメージ的には、上記イメージを利用して
(n番目の数)=(1番目の数)+("↓"矢印の数)×(隣り合う数)
別の言い方をすると、
(n番目の数)=(初項)+(n番目に行くまでdを加えた数)×(公差)

したがって、n番目の数をa_nとし、初項をa、公差をdとしたときに、
a_n= a+(n-1)×d
となる。ここで(n-1)は(n番目‐1番目)をする事によって矢印「↓」の数を求めたものである。

繰り返しになるが、この式の意味は見失わないでもらいたい。

「n番目の数を求めるためには、初項aに(n-1)回dを加えた」

と言う意味である。

★今回のポイント★
式の意味は見失わないようにしよう。
そして、式自体を覚えることよりも意味を理解する方を
重点においてもらいたい。
意味もなく覚える行為のほうが、一時的にははるか「楽」だが、長い目で見ると
この行為自体は、後で苦しくなる。

●確認問題●
上記公式
a_n= a+(n-1)×d
を、初項が1、公差が2の場合(一番最初の例に同じ)に適用してみて、
結果が同じものになることイメージ図とともに確認せよ。


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2.前回の訂正

前回、の文章内で
1,2,3,4,5,6,8,9,10,11、・・・・・・
という数列を書きましたが、これは
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11、・・・・・・
の誤りです。ここで悩んでしまった方は大変申し訳ありませんでした。

#あと、変だなって悩んだら気楽に掲示板やメールで問い合わせてください

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3.本メルマガの意図

私は、現状の日本の「理系離れ」の問題を
深刻なものと捕らえています。

理科系の知識や技術は、新しいものを生み出すのには必需です。
世の中当たり前なもののほとんど(例えば携帯電話やTV等々)
も理科系の知識や技術の結晶といってもいいくらいです。

今後、新しいものを生み出すためにはこのような状況って
あまり好ましくないと個人的には感じてます。

そして、新しいものを生み出す行為は、経済的な面から見ても
プラスになると個人的には思ってます。

「数学離れ(=理系離れ)と言うのを少しでも減らしたい」

と言うのが私の本当の気持ちであり、本メルマガの真の意図であります。

今後とも本メルマガをよろしくお願いいたします。

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4.HP紹介
本、メールマガジンの読者でもある、安部さんという方のHPを紹介します。
ここは、このメールマガジンとも趣向が似てると思いますので、まだ、ご存じない方は
一度、ご覧になってはいかがでしょうか??

数学関連小ネタ集(生活に関わる数学等々のお話)
数学に関するコラム、数学嫌いの直し方

等々たくさんのコンテンツがあります。

アドレスは
http://www5a.biglobe.ne.jp/~bebeshi/main.htm
です。

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5.掲示板より
前々回あたり、お勧めの数学の本の募集を致しましたが、本メルマガ掲示板にて
butanosukeさんより「おもしろかった数学小説」について教えて欲しいと言うような
書き込みがありました。
皆さんが読んだ、「数学者の生き様」を描いたような本に興味があり、
お勧めがありましたら、是非書き込みよろしくおねがいします。

掲示板には、その他、ご意見ご感想、間違いの指摘等々気軽に書き込んで
行ってください。私の方からも出来る限り返信いたします。