土曜日, 11月 04, 2006

第6回:復習を兼ねて(とある貯金法ー解答編)

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やさしく数学を
第6回 1.とある貯金法の結果
2.Q&A
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新年、明けましておめでとうございます。
本年もまたよろしくお願いします。

先週の「とある貯金法」で1年後にはいくら貯まってるか?
という問に対し、何人かの方から解答を頂きました。

皆さん、いろいろ試行錯誤して考えてくれたようで
嬉しいです。

今回は、皆さんから頂いた解答を元に前回の問題の
解答を述べていきます。

ここで、大切なのは結果ではなく過程であると言うことを
念頭に置いておいてください。

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1.とある貯金法の結果

最初に、皆さんから頂いた解答を紹介しよう。

●解答法その1

1から365までを中間地点183で折り返して下記のように書く。

1, 2, 3, 4,・・・・・・・・・180,181,182,
183
365,364,363,362 186,185,184,

これを、縦に足してみると、

1, 2, 3, 4,・・・・・・・・・180,181,182,
+ + + + + + + 183
365,364,363,362 186,185,184,
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
366 366 366 366 366 366 366 183

366が182個と183が1個あるので、

366X182 + 183 = 66795

となり、1年間で66795円たまることが分かる。


●解答法その2

1から365までを中間地点182で折り返して下記のように書く。

1, 2, 3, 4,・・・・・・・・・180,181,182,

365,364,363,362,361 185,184,183

これを、縦に足してみると、

1, 2, 3, 4,・・・・・・・・・180,181,182,
+ + + + + + +
365,364,363,362,361 185,184,183
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
365 365 365 365 365 365 365 365 365

365が183個あるので、

365X183 = 66795

となり、1年間で66795円たまることが分かる。

●解答法その3

1から365まで並べたものと、その逆に365から1まで並べたものを書いてみる。

1, 2, 3, 4,・・・・・・・・・,362,363,364,365

365,364,363,362,・・・・・・・・・, 4, 3, 2, 1

これを、同じように縦に足し算してみる

1, 2, 3, 4,・・・・・・・・・,362,363,364,365
+ + + + + + + +
365,364,363,362,・・・・・・・・・, 4, 3, 2, 1
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
366 366 366 366 366 366 366 366

さて、ここで366が365個出てきたわけだが、これはどんな意味がある
数なのだろう??

「1から365まで順番に足したもの」と「365から1までを加えたもの」
が等しい値になる
ということに注意するとわかっていただけるだろうか??。

つまり、まとめると、1から365までの和を求めるために、
「逆に並べたダミーな数列」
365,364,363,362,・・・・・・・・・, 4, 3, 2, 1
を利用して、

1, 2, 3, 4,・・・・・・・・・,362,363,364,365
+ + + + + + + +
365,364,363,362,・・・・・・・・・, 4, 3, 2, 1
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
366 366 366 366 366 366 366 366

により、366が365個あることから

366X365=133590

この値は、
(1+2+3+・・・・・・+364+365)+(365+364+363+・・・・+3+2+1)
に等しく、さらにこの値は
(1+2+3+・・・・+363+364+365)+(1+2+3+・・・・+363+364+365)
に等しい。

したがって
(1+2+3+・・・・+363+364+365)の2倍が133590となる
【2X(1+2+3+・・・・+363+364+365) = 133590】
したがって
(1+2+3+・・・・+363+364+365)は66795となる
(ここで2×66795=133590に注意。)


●まとめ
ここら辺を十分理解する人にとっては、すべて同じ方法に見えるかもしれない。
そう、これら3つの解法は「本質的にはすべて同じ物」なのである。

そう、等差数列と言うのは
「隣り合う数の差が一定である」
というのが性質であった。

例えば、下記のような数列の場合は

1,2,3,4,5

右にひとつ移動するごとに"+1"される。

この等差数列を、逆に並べてみよう

5,4,3,2,1

この数列は右にひとつ移動するごとに"-1"される。

1, 2, 3, 4, 5
5, 4, 3, 2, 1

縦に足し算するとすべて6になると言うのは
上の段のほうは、「右にひとつ移動するごとに"+1"される」のに対し、
下の段のほうは、「右にひとつ移動するごとに"-1"される」からである。

最後に、等差数列に関しては一般的にこのような(解答法その3)考え方で、和を簡単に
求めることが出来ることには注意したい。

メールマガジン創刊号に書いた、「数列の和を公式で覚えるのはポイントが間違ってる」
と書いたのは、その事であり、等差数列の和を求める上で覚えるべきことがあるとしたら
「等差数列を逆に並べて縦に足し算をする」
ということである。教科書に載ってる公式を覚えることにたいした意味はないと言うこ
とは心に留めておいてもらいたい。

次回は、ここまで理解できた方は、容易にその公式が導けるようになってることを
示したいと思う。

●今回のポイント●
等差数列の和は、逆に並べてそれを縦に足し算してみる事によって
簡単に求めることが出来る。


●練習問題●
(1)奇数を1から999まで足し算してみよう。すなわち、
1+3+5+7+ ・・・・ +991+993+995+997+999
を求めよ。

なお、この問題は、
a_k = 2k-1
としたとき、

500
Σa_k
k=1

を求めよ。という問題と同じであることは理解していただきたい。

2、Q&A
Q.
前回、以下のような記述がありました。

「今回のポイント」のところで
「Σは、曖昧さを一掃して厳密に和を表すための記号である。」

のどこが曖昧なのか??

A.

確かに、メールマガジンの場合は、前もって
「初日に1円で以下一日ごとに1円ずつ増やしていく」
と宣言してから
「1円+2円+3円+4円+・・・・・・364円+365円」
と書いたので、曖昧と思わなかったかもしれません。


私が曖昧になると言ったのは、例えば何も宣言せずに

「1円+2円+3円+4円+・・・・・・364円+365円」

書いてしまった場合、この「・・・・・・・・」の部分は
もしかすると、

規則的でなく、順番になってるとも限らないし、
そもそも、何個足すのかですら分かりません。

したがって、Σという記号を記入します。

これを、

365
Σ k
k=1

と書けば、何個足すかも明確になるし、何一つ書き漏らすことなく
書けると言うことになるのです。